味付け

 

どうせ出てきてくれる

チャイムを押した もう一回押した

足音が聞こえてやっぱりって思って

優しくないけど傷つけられない 

もう彼女ではないわたしを

家に入れてくれることも知ってた

 

日々につかれてしまって

頼る人をまちがえてしまって

家に行ってしまって

ドアが開いて困った顔と目があった

 

まだ置いてある歯ブラシに安心した

必要のないコンタクトケースもおいてあった

まだわたし捨てられてないのかなって

思ってしまう


 

2人の部屋も一週間で1人の部屋になってた

見たことのないもの増えて散らかってた


 

日々につかれたフリして

頼る人をまちがえたフリして

来てみたんだけど

迎えてくれるのは笑顔じゃない

 

 

いつか麻婆豆腐が食べたくなる日が来て

いつかドライカレーが恋しくなる

きっとこれを繰り返して

なかなか火がつかないコンロで料理する

後ろ姿をまた見る気持ちでいる

ずっと

この先も

 


だからまたあの日々をまた

味わいたい

 

でも

 

この部屋で初めて濁った涙を見た

情が薄いと思ってた君が

こんなに苦しそうに泣けることを知って

わたしも心底苦しかった

 

いつか2人だけで笑える日は来るのか

いや

いつか2人ずつで笑える日

私たちが願うのは、こっちだろう